福岡市内へのアクセスのよさと、手の届きやすい土地の価格。福岡県南で家を建てる理由として、まず挙げられるのはこうした条件かもしれません。けれど、家を建てるということは、その土地に新しい風景をつくるということでもあります。

田んぼや川、茶畑や森、町家の通り…もともとその場所にあった景色は、宅地として開発された瞬間に、姿を変えてしまうことが少なくありません。建築には、風景をつくる力があると同時に、風景を壊してしまう力も持っています。私たちは、福岡県南の本当の魅力は、「価格」や「距離」だけではないと考えています。広い田んぼの先に広がる山々の風景、川沿いを抜ける風、茶畑の丘から見渡す景色、森の気配、町家が並ぶ路地のたたずまい。これらは、その土地でしか出会えない暮らしの豊かさです。先に土地を選び、その後に建物の形を決めていくそうした順番の家づくりだけが、選択肢ではないはずです。土地の魅力を観察し、そこにどんな時間を過ごしたいかを想像することからはじめる「暮らし先行型」の家づくりという選択肢もあるのではないでしょうか。

このコーナーでは、福岡県南のさまざまな土地から着想した「暮らしの提案」をご紹介します。

それぞれの風景の中にある豊かさを最大限に生かし、訪れる人の心に「こんな暮らしできたらいいな」という想いが浮かぶような、5つの物語田んぼの暮らし/茶畑の暮らし/川辺の暮らし/山の暮らし/町家の暮らし)をお届けします。